エコマップの基本

エコマップとは?書き方・線の種類・記入例

エコマップの意味と目的、6つの手順で描く書き方、線と矢印の意味、高齢者介護の記入例、介護・福祉・看護の現場での使い方をまとめました。
2026年10月更新

エコマップとは

エコマップ(eco-map)とは、本人や家族を中央の円に置き、その周りの家族・友人・医療機関・介護サービス・行政・地域などとのつながりを、線の太さや種類で表した図です。どこから支えられているか、どこにストレスがあるか、どんな支援が足りないかが一目でわかり、介護・福祉・看護のアセスメントや支援計画づくりに使われます。1975年にソーシャルワーカーのアン・ハートマンが考案しました。

エコマップとは:意味と目的

エコマップは「エコロジカル・マップ(生態地図)」を縮めた呼び方です。人の暮らしは、家族だけでなく、病院や介護サービス、職場や学校、近所づきあいなど、周りの環境とのやり取りで成り立っているという考え方(生態学的な視点)に基づいています。考案者のアン・ハートマン(Ann Hartman)はアメリカのソーシャルワーカーで、1978年の論文でその描き方を紹介しました。

文章のケース記録では見えにくい「つながりの全体像」を1枚の図にまとめられるのが大きな特徴です。主な目的は次のとおりです。

エコマップでできること

  • 本人を支えている人や機関を一覧できる
  • ストレスや対立のもとになっている関係に気づける
  • まだつながっていない、必要な支援が見えてくる
  • 本人や家族、多職種のチームと状況を共有できる
  • 支援の前と後で、つながりの変化を比べられる

エコマップの書き方(6つの手順)

できれば本人や家族と話しながら一緒に描きます。描く過程そのものが、本人が自分の状況を振り返るきっかけになります。
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    中央に本人(または世帯)を描く

    紙面の中央に大きめの円を描き、支援の対象となる本人を書き入れます。家族単位で見る場合は、円の中に同居家族を簡単なジェノグラムで描きます。
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    関わりのある人や機関を書き出す

    家族・親戚、友人や近所の人、医療機関、介護サービス、行政や相談窓口、職場や学校、趣味や信仰の集まりなど、本人とつながりのあるものを本人と一緒に挙げていきます。
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    周りに円を配置する

    書き出した人や機関を、中央の円の周りに一つずつ円で描きます。名前だけでなく、「週2回」「月1回訪問」など関わりの頻度を書き添えると、あとで読み返しやすくなります。
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    線でつながりの強さを表す

    中央の円と周りの円を線で結びます。強い関係は太い実線、普通の関係は実線、弱い関係は破線、ストレスや葛藤のある関係はギザギザの線で描きます。
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    矢印で支援の向きを示す

    支援やエネルギーがどちらに流れているかを矢印で示します。本人が支援を受けている場合は本人に向けて、本人が誰かを支えている場合は相手に向けて、やり取りが双方向なら両端に矢印を付けます。
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    凡例と作成日を書き、読み取る

    線の意味を凡例として書き添え、作成日を記入します。最後に、支えになっているつながり、ストレスの元、まだつながっていない必要な支援を確認し、支援計画に生かします。

きれいに描くためのコツ

関係の強いものほど中央の円の近くに、関わりの薄いものほど遠くに置くと、線を見なくても距離感が伝わります。円の大きさは、その人や機関が本人にとってどれだけ大きな存在かで変えてもかまいません。線が交差しないように、家族・親戚、医療、介護、地域、仕事や学校といった種類ごとにまとめて配置すると読みやすくなります。

エコマップの記号と線の種類

中央の円と周りの円を結ぶ線の太さと種類で、つながりの強さと質を表します。下の表はGenogramAIのエコマップで使う線と同じ描き方です。
線名前意味例
強い関係太い実線。頼りにしている、関わりが深い毎日のように来る長女、週3回通うデイサービス
やや強い関係中くらいの太さの実線。安定した支え定期的に訪問するケアマネジャー
普通の関係細い実線。関わりはあるが強くはない月1回通院するかかりつけ医
弱い関係破線(点線)。たまにしか関わらない、関係が始まったばかり年に数回連絡を取る親戚
ストレスのある関係ギザギザの線。負担や緊張のもとになっている金銭のことで口論が続く長男
強いがストレスもある関係二重のギザギザ線。頼っているが衝突もある介護を担う一方で言い争いも多い同居の娘
対立のある関係実線に斜線を入れる。はっきりした対立や敵対騒音トラブルが続いている隣家
断絶した関係途中で途切れた線。関係が切れている何年も連絡を絶っている兄弟

線には矢印を付けて、支援やエネルギーがどちらに流れているかを示します。

矢印名前意味
本人に向かう矢印支援が本人に向かっている(訪問介護、配食サービス、仕送りなど)
相手に向かう矢印本人が相手を支えている(配偶者の介護、ボランティア活動など)
両向きの矢印お互いに支え合っている(近所の友人との助け合いなど)

線の描き方は、教科書や施設によって少しずつ違います。たとえば対立を「+++」のような記号で表す書き方や、弱い関係を点線で描く書き方もあります。どの描き方を使う場合も、図の隅に凡例を付けておけば、ほかの職員や本人が見ても誤解なく読み取れます。中央の円には本人だけを描くことも、同居家族をジェノグラムの記号(男性□・女性○、本人は二重)で描き込むこともあります。ジェノグラムの記号はジェノグラムの記号一覧で確認できます。

エコマップの記入例:一人暮らしの高齢者

架空の事例です。82歳の女性Aさんは夫を亡くしてから一人暮らしで、要介護1の認定を受けています。
Aさん(82)一人暮らし長女県外・月1回ケアマネジャー月1回訪問デイサービス週2回訪問介護週3回かかりつけ医月1回通院民生委員ときどき近所の友人毎日あいさつ長男市内・別居
記入例(架空の事例)。線の太さと種類でつながりの強さを、矢印で支援の向きを表しています。
つながり線読み取れること
デイサービス・近所の友人太い実線生活の支えの中心。友人とは互いに助け合っている(両向きの矢印)
ケアマネジャー・訪問介護実線+本人への矢印介護保険のサービスは安定して入っている
長女破線+本人への矢印仕送りと電話はあるが、遠方のため関わりは弱い
長男ギザギザの線近くに住むが、お金のことで口論が多く負担になっている
民生委員破線見守りの関係はあるが、まだ薄い

この図からは、Aさんの暮らしがデイサービスと近所の友人に大きく支えられている一方で、家族の関わりは弱く、長男との関係が負担になっていることがわかります。支援の方向としては、遠方の長女と連絡を取り合う仕組みづくりや、民生委員による見守りを強めること、長男との金銭の問題について相談できる窓口(地域包括支援センターなど)につなぐことなどが考えられます。

介護・福祉・看護での活用

介護(ケアマネジメント)

  • アセスメントで、利用中のサービスとインフォーマルな支えを整理する
  • ケアプランの作成時に、支援が手薄な部分を見つける
  • サービス担当者会議で、関係者全員の役割を共有する

社会福祉・相談援助

  • 生活困窮、子育て、障害など、相談者を取り巻く資源を把握する
  • 孤立している人や、つながりが切れている関係を見つける
  • 面接の中で本人と一緒に描き、強みを確認する

看護(家族看護・在宅看護)

  • 退院支援で、在宅生活を支える人と機関を確認する
  • 訪問看護で、家族の介護負担と外部の支援を見比べる
  • ジェノグラムと組み合わせて、家族の内側と外側の両方を捉える

いずれの場面でも、エコマップは一度描いて終わりではありません。サービスの開始や終了、入退院、家族の変化があったときに描き直し、作成日を入れて残しておくと、つながりがどう変わったかを振り返ることができます。個人情報を含むため、記録として保存する場合は所属機関の取り扱いルールに従ってください。

ジェノグラムとの違い

ジェノグラムは、家族の構成と家族同士の関係を3世代以上にわたって表す図です。エコマップは、本人や家族と外の人・機関との「今」のつながりを表します。ジェノグラムで家族の内側を、エコマップで家族の外側を整理すると考えるとわかりやすく、アセスメントでは2つを一緒に使うことがよくあります。詳しい比較はエコマップとジェノグラムの違いを、ジェノグラムの基本はジェノグラムとはをご覧ください。

GenogramAIでエコマップを作る

GenogramAIでは、エコマップをジェノグラムとは別の種類のファイルとして作成できます。白紙から描くほか、高齢者支援などのテンプレートから始めたり、本人の状況を文章で説明してAIに下書きを作らせたりできます。線の種類や矢印はあとから一つずつ変更でき、凡例付きで書き出せます。手書きのエコマップの写真を読み込む機能は有料プランで使えます。

よくある質問

エコマップとは何ですか?

エコマップ(eco-map)は、本人や家族を中央に置き、その周りの人や機関とのつながりを線で表した図です。どこから支えられ、どこにストレスがあり、どの支援が足りないかを1枚で把握できます。日本では「生態地図」「社会関係地図」と呼ばれることもあります。

エコマップは誰が考案したのですか?

アメリカのソーシャルワーカー、アン・ハートマン(Ann Hartman)が1975年に考案し、1978年の論文で書き方を紹介しました。家族とそれを取り巻く環境を一緒に見る、生態学的な視点に基づく道具です。

エコマップの線の種類と意味は?

一般的には、太い実線が強い関係、実線が普通の関係、破線(点線)が弱い関係、ギザギザの線がストレスのある関係、線に斜線を入れたものが対立のある関係、途中で途切れた線が断絶した関係を表します。矢印は支援やエネルギーの向きです。描き方は施設や教科書によって少しずつ違うので、必ず凡例を付けます。

エコマップとジェノグラムの違いは?

ジェノグラムは家族の構成と家族内の関係を3世代以上にわたって表す図、エコマップは本人や家族と外の人・機関との今のつながりを表す図です。アセスメントでは2つを一緒に使うことがよくあります。

エコマップに何を書けばよいですか?

別居の家族や親戚、友人、近所の人、かかりつけ医や病院、訪問看護、ケアマネジャー、デイサービスなどの介護サービス、地域包括支援センター、民生委員、市区町村の窓口、職場、学校、趣味や信仰の集まり、ペットなどです。本人にとって意味のあるつながりなら、人でも機関でも書き入れます。

エコマップはどのくらいの頻度で書き直しますか?

決まりはありませんが、サービスの開始や終了、入退院、家族の状況の変化があったときに書き直すと、支援の前後で何が変わったかを比べられます。作成日を必ず記入しておきます。

GenogramAIでエコマップを作れますか?

はい。GenogramAIではエコマップをジェノグラムとは別の種類のファイルとして作れます。白紙から、テンプレートから、または状況を文章で説明してAIに作らせることができます。AIで作るエコマップは、無料プランの毎月5回分のAIクレジットをジェノグラムと共有します。