手順と記入例

ジェノグラムの書き方

ジェノグラムは、決まったルールさえ押さえれば誰でも書けます。基本の記号から、兄弟の順番、離婚・再婚、死亡、本人・キーパーソン、同居の囲みまで、看護・介護・福祉の現場で使う書き方を順番に説明します。
2026年10月更新

要点

ジェノグラムは、本人を中心に3世代以上の家族を描きます。男性は□、女性は○、本人は二重の記号にし、夫婦は横線(男性が左)、子どもは夫婦の線から縦線で下ろして年長者を左から並べます。離婚は斜線2本、死亡は×(または黒塗り)で示し、同居している人を線で囲み、キーパーソンと作成日を書き添えます。

ジェノグラムの書き方の基本ルール

まず押さえておきたい6つのルールです。細かな記号は施設や地域の様式によって違うことがあるので、迷ったら所属先の様式を優先し、凡例を付けておきます。

男性は□、女性は○

性別がわからない人は別の記号で描きます(記号一覧を参照)。

本人は記号を二重に

支援の対象となる人。二重の□または○で表します。

夫婦は横線で結ぶ

日本の記載例では男性が左、女性が右が基本です。

子どもは縦線で下ろす

兄弟姉妹は年長者を左から。双子は同じ一点から2本の線を出します。

死亡は×(または黒塗り)

どちらかに統一し、亡くなった年や享年を添えます。

同居している人は線で囲む

同じ世帯の人をまとめて一本の線で囲みます。

ジェノグラムの記号一覧を見る

ジェノグラムの書き方 7つの手順

  1. 1

    本人を決めて中央に置く

    支援の対象となる人(本人)を決め、紙面の中央付近に描きます。男性は四角(□)、女性は丸(○)で、本人は記号を二重にします。
  2. 2

    配偶者を横線でつなぐ

    夫婦は横線で結びます。日本の記載例では男性を左、女性を右に置くのが基本です。離婚・別居・内縁は線に印を加えて区別します。
  3. 3

    親と祖父母を上に足す

    本人の親世代、さらにその上の世代を描き、少なくとも3世代がそろうようにします。高齢の本人の場合は、本人・子・孫の3世代になることもあります。
  4. 4

    子どもを年齢順に並べる

    夫婦の横線の中央から縦線を下ろし、子どもを横並びにつなぎます。兄弟姉妹は年長者を左から順に並べます。
  5. 5

    死亡・年齢を書き込む

    亡くなった人は記号に×を入れる(または黒く塗る)と決め、図の中で統一します。年齢は記号の中か下に書き、亡くなった年や享年も添えます。
  6. 6

    同居している人を線で囲む

    同じ世帯で暮らしている人たちを、一本の線(実線または点線)で大きく囲みます。
  7. 7

    キーパーソンと作成日を記入する

    キーパーソンや主介護者に印を付け、凡例として意味を書き添えます。誰から聞いた情報か、作成日もあわせて記録します。

記入例:高齢者介護のケース

架空の家族で、介護の相談を受けたときのジェノグラムを描いてみます。

本人は佐藤ハナさん(84歳)。夫の一郎さんは2021年に86歳で亡くなっています。子どもは長男の健一さん(58歳)と長女の由美さん(55歳)の2人。健一さんは妻の美和さん(56歳)、長男の翔太さん(30歳)とともに本人と同居しており、主に介護をしているのは美和さんです。健一さん夫婦の長女さくらさん(27歳)は独立して別に暮らしています。由美さんは離婚しており、元夫との間に拓也さん(25歳)がいます。

ジェノグラムの記入例(架空の家族)本人の佐藤ハナさん(84歳)を中心にした3世代のジェノグラム。夫は2021年に死亡。長男夫婦と孫の翔太さんが本人と同居し、長男の妻がキーパーソン。長女は離婚しています。第1世代第2世代第3世代夫 一郎2021年 86歳で死亡本人 ハナ 84長男 健一 58妻 美和 56KP・主介護者長女 由美 55元夫孫 翔太 30孫 さくら 27孫 拓也 25点線の囲み=同居
記入例(架空の家族)。死亡は×、本人は二重の○、同居は点線の囲み、キーパーソンはメモで記入しています。

この図から読み取れること

  • 本人は夫を亡くし、長男夫婦・孫と4人で暮らしている
  • 主介護者でキーパーソンは長男の妻(本人から見て義理の娘)
  • 長女は離婚しており、本人とは別に暮らしている
  • 別居の家族(長女・孫2人)は、介護の協力者になりうる人として確認が必要

描くときの順番

  • 本人(二重の○)と夫(×の入った□)を横線で結ぶ
  • 2人の線から縦線を下ろし、長男を左、長女を右に置く
  • 長男と妻、長女と元夫(斜線2本)をそれぞれ横線で結ぶ
  • 孫を年長者から左に並べ、年齢を書く
  • 同居の4人を線で囲み、キーパーソンを記入する

兄弟姉妹の書き方と順番

「兄弟の順番」はよく迷うポイントです。

兄弟姉妹は、親の夫婦線の中央から縦線を下ろし、横に引いた線から一人ずつ縦線でつなぎます。並び順は年長者を左にして、生まれた順に右へ並べるのが基本です。本人が兄弟の中で何番目かが一目でわかるように、年齢や生まれ年を記号の中か下に書いておきます。

双子は、親からの線の同じ一点から2本の線を斜めに出してつなぎます。一卵性の場合は、2本の線の間を横線で結んで区別します。異父・異母のきょうだいは、それぞれの親の夫婦線から下ろすことで、どの親とのつながりかがわかります。流産・死産・早くに亡くなった子も、その時期の位置に入れておくと家族の歴史が読み取りやすくなります。

GenogramAIでは、人物に生年を入力し、ドラッグで並び順を整えます。双子は「双子としてグループ化」で一卵性・二卵性を選べます。

離婚・再婚・内縁・別居の書き方

夫婦の線に印を加えて区別します。
関係日本でよく使われる書き方GenogramAIでの表示
婚姻実線で結ぶ婚姻(実線)
内縁・同棲点線や破線で結ぶ(資料により異なる)同棲(破線)
婚約点線で結ぶことが多い婚約(点線)
別居夫婦の線に斜線1本(/)別居(斜線1本)
離婚夫婦の線に斜線2本(//)離婚(斜線2本)

再婚は、前の配偶者との線に離婚(または死別)の印を付けたまま残し、新しい配偶者との婚姻線を引きます。前の結婚の子どもは前の夫婦線から、再婚後の子どもは新しい夫婦線から下ろすと、異父・異母のきょうだい関係が正しく表れます。複数の結婚は、時期の古い順に並べると読みやすくなります。なお、GenogramAIの関係線にある「再婚」は、一度離婚した同じ2人が再び結婚した場合の線です。別の相手と再婚したときは、その相手との「婚姻」の線を追加します。

内縁関係の描き方は、点線や破線など資料によって違いがあります。どの線を使うかを凡例に書いておけば、読み手が迷いません。

死亡・流産の書き方

亡くなった人は、記号の中に×を入れるか、記号を黒く塗る書き方が使われます。日本の介護・福祉の記載例では両方が紹介されていることが多いので、所属先の様式に合わせ、1枚の図の中ではどちらかに統一します。亡くなった年、享年、わかれば死因を記号の近くに書きます。GenogramAIでは、死亡にすると記号に×が入り、死亡日や死亡時年齢を記録できます。

妊娠・流産・人工妊娠中絶・死産にも記号があります。日本の様式では性別不明に△を使うことがありますが、国際的な表記では△は妊娠を表すため、ツールで描くときは記号の意味を凡例で確認してください。詳しくは記号一覧で説明しています。

本人・キーパーソン・同居の書き方

本人:記号を二重にする

GenogramAIでは「インデックス人物に指定」で二重の記号になります。

キーパーソン:☆や「KP」で示す

書き方は施設により異なります。GenogramAIではメモで記入します。

主介護者:「主」「副」と書く例も

介護の様式でよく見られる書き方です。凡例に意味を書き添えます。

同居:線で大きく囲む

GenogramAIでは「家族グループ」で同居の囲みを表示できます。

GenogramAIで日本式の印を付けるには

キーパーソンや主介護者を表す専用の記号はGenogramAIにはありません。ツールバーの「メモを追加」で該当する人の近くに「KP」「主介護者」と書き込み、図の凡例にも意味を記入してください。介護の向きを線で示したい場合は、感情線の「世話役」を使う方法もあります。

看護・介護・福祉で書くときのポイント

アセスメントに使うジェノグラムでは、図の正確さに加えて記録としての扱いが大切です。

書く前に

  • 誰を本人にするかを決める(利用者・患者・相談者)
  • 所属先の様式や記号のルールを確認する
  • 家族構成は本人と家族の両方から聞き取ると漏れが減る

書いたあとに

  • 作成日と、誰から聞いた情報かを記録する
  • わからないことは推測で埋めず「不明」と書く
  • 家族の状況が変わったら日付を付けて書き直し、比べられるようにする
  • 氏名の扱いは個人情報のルールに従う(続柄と年齢のみで書く方法もある)

介護保険のケアマネジメントや病棟・訪問看護の記録では、ジェノグラムと一緒にエコマップを描いて、家族の外にある支援(医療機関、介護サービス、近所の人など)とのつながりも整理することがよくあります。

エクセルで書くか、ツールを使うか

エクセルやWord、PowerPointでも、図形とコネクタを組み合わせればジェノグラムは書けます。ただし人を一人追加するたびに線の位置や配置を手で直す必要があり、離婚や再婚が重なる家族では特に手間がかかります。

GenogramAIはブラウザで使えるジェノグラム作成ツールで、人物を追加すると線と配置が自動で整います。家族の状況を日本語で入力してAIに下書きを作らせることもできます。無料プランではジェノグラムを2つまで作成でき、毎月5回分のAIクレジットとPNG形式での書き出しが使えます。

無料でジェノグラムを作成

よくある質問

ジェノグラムは何世代まで書けばよいですか?

原則は3世代以上です。子どもの支援なら子・親・祖父母、高齢者の支援なら本人・子・孫の3世代を基本にし、必要に応じて上下に広げます。

兄弟姉妹はどの順番で書きますか?

親の横線から下ろした線に、年長者を左にして生まれた順に並べます。流産や死産も、その時期の位置に入れると家族の歴史が読み取りやすくなります。双子は親の線の同じ一点から2本の線を斜めに出してつなぎます。

離婚や再婚はどう書きますか?

離婚は夫婦の横線に斜線を2本(//)、別居は1本(/)入れます。別の相手と再婚した場合は、その相手との婚姻線を新しく引き、前の婚姻線は離婚の印を付けたまま残します。複数の婚姻がある場合は、時期の古い順に並べると読みやすくなります。

内縁関係はどう表しますか?

婚姻の実線と区別して、点線や破線で結ぶのが一般的です。資料や施設によって描き方が異なるため、凡例に意味を書いておきます。GenogramAIでは「同棲」の関係線(破線)で表せます。

亡くなった人は×と黒塗りのどちらで書きますか?

どちらも使われています。日本の介護・福祉の記載例では黒く塗る書き方と記号の中に×を入れる書き方が併記されていることが多く、所属先の様式に合わせるのが確実です。GenogramAIでは記号に×が入る書き方で表示されます。

キーパーソンはどう書きますか?

記号の横に☆を付ける、「KP」と書き込むなど、施設や地域によって書き方が異なります。どの書き方でも、凡例に意味を書き添えておくことが大切です。GenogramAIにはキーパーソン専用の記号がないため、キャンバスのメモで「KP」「主介護者」と記入して表します。

看護や介護のアセスメントで書くときの注意点は?

作成日と情報源(誰から聞いたか)を記録し、わからない情報は空欄や「不明」と明記して推測で埋めないことです。氏名の扱いは所属先の個人情報のルールに従い、続柄や年齢のみで書く方法もあります。

エクセルやWordでもジェノグラムは書けますか?

図形とコネクタを組み合わせれば書けますが、人を追加するたびに線や配置を手で直す必要があります。GenogramAIなどの専用ツールでは、人物を追加すると関係線と配置が自動で整います。

ジェノグラムの表記は、McGoldrick、Gerson、Petry著『Genograms: Assessment and Treatment』(W. W. Norton)で説明されている慣例に基づいています。GenogramAIは独立した製品であり、著者および出版社とは提携しておらず、推奨も受けていません。