基本の解説

ジェノグラムとは

ジェノグラムの意味と目的、家系図との違い、看護・介護・福祉の現場での使われ方をまとめました。
2026年10月更新

ひとことで言うと

ジェノグラムとは、3世代以上の家族の構成と関係を、決められた記号で1枚に表した図です。

ジェノグラムの意味

ジェノグラム(genogram)は、家族の構成と家族同士の関係を図に表したもので、日本語では「家族関係図」「世代関係図」とも呼ばれます。男性を□、女性を○で描き、夫婦を横線、親子を縦線でつなぎ、本人を中心に少なくとも3世代を描きます。

家族の人数や続柄だけでなく、同居しているか、離婚や死別があったか、どんな病気を経験しているか、家族同士の関係が近いか遠いかといった情報も記号や線で書き込みます。文章で書くと長くなる家族の状況を、1枚の図で共有できるのが特徴です。

3世代のジェノグラムの例
GenogramAIで作成した3世代のジェノグラム(英語版の作例)。この例を開く

ジェノグラムと家系図の違い

家系図ジェノグラム
目的家系・血縁の記録家族の理解と支援
世代何世代でも3世代以上が基本
書き込む情報氏名、生没年、続柄同居、離婚・死別、病歴、関係の質、キーパーソン
関係の質描かない親密・疎遠・対立などを線で表す
主な使い手個人、家系の調査看護・介護・福祉・心理の専門職

ジェノグラムでわかること

  • 誰と誰が一緒に暮らしているか、誰が離れて暮らしているか
  • 本人を支えられる家族は誰か、介護や養育の負担が誰かに偏っていないか
  • 離婚・再婚・死別など、家族の形が変わった出来事とその時期
  • 世代を超えて見られる病気、依存症、早い時期の死別などのパターン
  • 親密・疎遠・対立など、家族同士の関係の質

看護・介護・福祉・ソーシャルワークでの使い方

職種によって注目する点は少しずつ違いますが、家族を理解し、支援者同士で共有するという目的は共通です。

看護

家族看護や退院支援で、家族の介護力や、家族歴にある病気を確認します。訪問看護でも家族の状況を共有するのに使われます。

介護(ケアマネジメント)

アセスメントで、同居の家族、主介護者、キーパーソン、遠方に住む家族を整理します。家族の状況が変わったときの見直しにも役立ちます。

福祉・ソーシャルワーク

児童・障害・高齢・生活困窮など、さまざまな相談で家族の全体像をつかみ、関係機関と情報を共有します。

家族療法・心理臨床

世代を超えて繰り返す関係のパターンや、家族の中の三角関係、喪失の影響を一緒に見ていきます。

医療・遺伝

家族歴を整理し、遺伝が関わる病気のリスクを確認します。

教育・実習

看護・福祉・心理の学生が、事例検討や実習記録で家族を理解する練習として書きます。

介護や福祉の様式では、本人を二重の記号で示し、同居している家族を線で囲み、キーパーソンや主介護者に印を付ける書き方がよく使われます。具体的な描き方はジェノグラムの書き方、記号の意味は記号一覧で説明しています。

ジェノグラムの成り立ち

ジェノグラムは、アメリカの精神科医マレー・ボーエンが提唱した家族システム理論の中で、家族を世代の流れの中で見るための図として発展しました。1985年にモニカ・マクゴールドリックとランディ・ガーソンが記号を体系的にまとめた本を出版し、その後の改訂を通じて国際的に広く使われる表記になりました。

日本でも家族療法やソーシャルワークを通じて広まり、現在は看護や介護の教育・実務でも使われています。ただし細かな記号は分野や地域で違いがあり、市町村や研修で独自の記載例が示されていることもあります。

エコマップとの関係

ジェノグラムが家族の内側を表すのに対し、エコマップは本人や家族と、医療機関・介護サービス・学校・職場・近所の人などとのつながりを表します。介護のアセスメントや家族看護では、2つを一緒に描いて家族の内と外の両方を整理することがよくあります。違いと使い分けはエコマップとジェノグラムの違いで詳しく説明しています。

無料でジェノグラムを作成

よくある質問

ジェノグラムとは何ですか?

ジェノグラムとは、3世代以上の家族の構成と関係を、決められた記号で1枚に表した図です。日本語では家族関係図や世代関係図とも呼ばれ、看護・介護・福祉・心理の現場で家族を理解するために使われます。

ジェノグラムと家系図の違いは?

家系図は血縁と家系のつながりを記録するものです。ジェノグラムはそれに加えて、同居の状況、離婚や死別、病歴、家族同士の関係の質など、支援に必要な情報を書き込みます。

ジェノグラムは何のために書くのですか?

家族の構成と関係を一目で把握し、支援者同士で共有するためです。誰が本人を支えられるか、家族の中で負担が偏っていないか、世代を超えて繰り返す病気や出来事がないかなどを確認できます。

ジェノグラムはどんな職種が使いますか?

看護師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、社会福祉士、精神保健福祉士、医療ソーシャルワーカー、公認心理師や臨床心理士、家族療法家、医師などです。看護・福祉・心理を学ぶ学生も実習や課題で書きます。

ジェノグラムとエコマップの違いは?

ジェノグラムは家族の中の構成と関係を世代をまたいで表し、エコマップは本人や家族と、医療・介護サービス・学校・職場・地域などとのつながりを表します。アセスメントでは両方を一緒に使うことがよくあります。

ジェノグラムは誰が考えたのですか?

マレー・ボーエンの家族システム理論から発展し、モニカ・マクゴールドリックとランディ・ガーソンが1985年の著書で記号を標準化しました。現在の表記は、この標準をもとに各国や各分野で少しずつ違いがあります。

ジェノグラムの表記は、McGoldrick、Gerson、Petry著『Genograms: Assessment and Treatment』(W. W. Norton)で説明されている慣例に基づいています。GenogramAIは独立した製品であり、著者および出版社とは提携しておらず、推奨も受けていません。